Sonosの機械工学士であるカミール・ザバは、Sonos Moveの設計と試験に携わったエンジニアの一人です。ここでは、このスピーカーが実際に使用される場面を想定してSonosチームが行った厳しい耐久試験のプロセスについて語ります。

Sonos Moveは、9月24日よりSonos公式サイト(sonos.comおよび提携のリテールネットワークにて世界各国で販売開始、日本では2020年春に46,800円(税抜)にて販売を開始する予定です。

耐久試験では、スピーカーを水につけたり、オーブンで加熱したり、冷凍庫に入れたり、スタンガンでショックを与えたり、テーブルの上から落としたりします。誰もが驚く内容と言えるでしょう。しかし、実際にMoveの開発に携わった人の視点はまったく異なるものです。

ここでは、カミール・ザバにその体験を語ってもらいます。ザバは、Moveに課せられた厳しい耐久試験をご紹介するビデオシリーズにも出演しており、Moveを開発した機械工学チームに不可欠な存在の一人です。

Sonosのラボで働き始める前、学生だったザバには情熱を注ぐことが2つありました。音楽、そして物を分解することです。そんなザバは最終的に機械工学の道へ進むことに決めました。そして、通信業界に長年勤めた後にSonosで仕事を見つけ、興味があるもの両方に仕事で携われるようになりました。

機械工学は、ほとんどの人にとってどこか神秘的に思えるものかもしれません。しかしザバは、日用品のパッケージから家電の材質にいたるまで、機械工学はどこにでも適用できるものであると主張します。この分野では、一人の天才が何かを生み出すわけではなく、多くの人が知識を持ちより、時には妥協もしながら作り上げていくものなのです。

「音響チームだけが設計に携わっていたなら、Moveのサイズは工業デザインチームにとって大きくなりすぎていたでしょう」とザバは説明します。「機械工学チームだけが設計に携わっていたなら、Moveは頑丈ながら見栄えが悪い箱のようなものになっていたでしょう。耐久試験には合格するでしょうが、デザインチームにとってはとんでもないものになっていたはずです。ですから、このようにすべてのチームが協力して、お互いが行き過ぎないように連携しているのです。」

ザバのチームの仕事は、規則的な実験をしたりスプレッドシートに細かく結果を記録したりするだけではありません。また、想定外のことへの対応策がいつもあるわけでもありません。このような状況の中でザバが機械工学の仕事に価値を見いだしている理由とは、開発プロセスでの新たな発見や技術的な問題に適応しながら、クリエイティブになれるからなのです。Moveの設計におけるザバの偉業がその良い例と言えます。このおかげで、Moveは落下試験で優れた結果を出しました。

ザバのチームは、Play:5の開発初期段階でウーファーの耐久性を試験していました。大規模な落下試験やシミュレーションが用いられ、従来のスチールバスケット設計がMoveの要件をクリアするかどうかが評価されました。Play:5のウーファー(スピーカーの低音を生み出す部分)に使用されているスチールバスケットは、内部のマグネットの重みにより、ほとんどの落下で曲がってしまうことがわかりました。

この事実を発見した機械工学チームは、Moveのウーファーバスケットをキャビネットと一体化させるという体系的な再設計を行いました(従来、ウーファーバスケットはキャビネットとは別の部品です)。

チームは何十もの3Dモデルや提案、印刷、プロトタイプ作成を経て、広いリブ付きでガラス構造が40%のウーファーバスケットを開発しました。結果的に、非常に強い力にも耐え得るものとなりました。

「どれだけ力を加えても、新しいウーファーバスケットを壊すことはできませんでした。」

「耐久試験には力と変位を測るインストロン社の機械を使用しました」とザバは付け加えます。「この機械は、物が壊れるまでにどれだけの力がかかるかを測るものです。試験中にどれだけ力を加えても、新しいウーファーバスケットを壊すことはできませんでした。」

初めに試験を行ったバスケットには、通常とはまったく異なる材質が使用されていたことが後ほどわかりました。しかし、Moveのために新たに設計されたプロトタイプはとても耐久性に優れていたため、それを最終製品に使用することに異議を唱えた者はいませんでした。

「エンジニアがこれを見たら、必要以上に頑丈すぎると言うかもしれません。でも、チームにとっては満足のいくものができたと思っています」とザバは述べます。「どんな状況でも壊れたことがないのです。一度も。」

こうして生まれたMoveのおかげで、どこにいても音楽などが楽しめるようになりました。Moveには、ザバとチームが想定していた耐久性だけでなく耐候性もあり、ほこりにも強いのです。この様子はCheck 1,2 ビデオシリーズでもご覧になれます。これらの特徴に加え、Moveは工業デザインチームが設定した基準をすべてクリアしており、きめ細かでとても幅広いサウンドスケープを実現することで音響チームの要求も満たしています。

心躍るサウンドを生み出すスピーカーを作ることは、決して簡単なことではありませんでした。その舞台裏を紹介する各15秒の高画質のスナップショットは、設計と試験の繰り返し、そして献身的なチームの努力を表すものです。

「様々な部品に手を加えながら、設計、音響、ソフトウェア、パッケージにいたるまで各チームが協力して、何か月も作業をしました。」

「私たち5人の機械工学士は職務分野を超えたすべてのチームと協力して、Moveを四角い箱から素晴らしいサウンドを響かせる耐久性の高いスピーカーへと変えたのです」とザバは協力者たちに感謝しつつ語ります。「それだけでなく、私たちは実際に部品も設計しました。それまでになかったエンクロージャーが必要だったからです。」

ザバにとって、あらゆる状況に耐え得るスピーカーを作ることは現実離れした体験でした。「誰もが自分の好きなことを仕事に活かせるわけではありません」とザバは感謝を込めながら述べます。「Moveの製作は、まるで作曲するような体験でした。様々な部品に手を加えながら、設計、音響、ソフトウェア、パッケージにいたるまで各チームが協力して、何か月も作業をしました。それがすべてまとまって完成した作品は、音楽に通じるものです。」

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